調布の弁護士による相続・遺言・遺産分割のご相談[調布くすのき法律事務所]

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抵当権設定登記に劣後する賃貸借契約の継続について(引渡命令)

質問

マンションの一室を借りて個人でデザイン事務所を経営しています。オーナーとの賃貸借契約は2年ごとに更新しており、すでに5年目に入っています。先日、マンションを競落したという業者から連絡があり、前オーナーが破産したことにより競売が申し立てられ、自社が競落したので出ていってほしいと言われてしまいました。

私は退去しなければならないのでしょうか。

明け渡す場合には、立退料を請求することはできますか。

 

回答

競落人が賃貸借契約の継続を望めば退去する必要はありませんが。本件ではそのようにはいかないでしょう。競売に参加する業者等は、落札後にリフォームした上で転売することにより利益を得る目的を有しているので、賃貸借契約を継続することが難しいケースが多いでしょう。

 

締結した賃貸借契約の日付が、抵当権の設定時期よりも後である場合には、抵当権に劣後する賃貸借となります(マンションの登記簿謄本の記載をご確認ください)。通常は、マンションを購入するために金融機関から借り入れを行い、所有権移転登記と同時に金融機関を債権者とする抵当権の設定登記を行います。その後に入居者を募ることになるので、抵当権の登記の前に賃貸借契約を締結することは少ないのが実情です。本件も、抵当権に劣後する賃貸借契約であると思われます。

 

競落人には、競売により落札した不動産の使用収益を迅速に行うため、引渡命令(民事執行法83条)という制度が用意されています。あなたが明渡を拒否しても、競落人は引渡命令を申し立てることにより、あなたの占有を排除することができます。

 

もっとも、賃貸借契約により継続的に物件を使用してきた賃借人にも配慮がなされており、競落人が裁判所に代金を納付してから6か月間を経過するまでは、建物を明け渡すことを要しないとされています(民法395条1項)。

 

なお、引渡猶予期間中も賃料相当額の使用料を支払わなければなりません。この使用料を支払わず、相手方から催告を受けても履行しない場合には引渡の猶予を受けることはできなくなります(民法395条2項)。

 

したがって、6か月間は引渡が猶予されマンションの使用が認められますが、それを過ぎても使用を継続した場合には、競落人により引渡命令の申し立てがなされ、申立から1、2か月経過すると、強制執行により物件から退去させられることになります。

 

以上のように、競落人としては、最終的には引渡命令を申し立てることにより強制退去することができます。競売物件の落札相場自体が高騰している昨今の状況もあり、占有者への立退料の支払いを控える傾向があるようです。早期の明渡しを約束する代わりに立退料を要求する交渉も可能かもしれませんが、最終的に立退料が支払われるかは競落人次第といえるでしょう。

 

最後に備忘もかねて、引渡命令のポイントを列挙します。

・申立権者

代金を納付した買受人及びその一般承継人に限られる。

したがって、買受人から転売を受けたものは申立不可

・申立時期

代金納付の翌日から6か月以内。

ただし、上記のような明渡猶予制度の適用がある場合には、代金納付から6か月経過後の3か月以内。

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